黒川紀章氏別荘のカプセルハウスで ライブ配信や音のフィールドワーク

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御代田の別荘地にあるカプセルハウスK。

 御代田町にある故黒川紀章氏設計の「カプセルハウスK」。現在解体中の中銀カプセルタワービル(東京都)と同じタイプのカプセルを使用した建築史的にも貴重な建物だ。メタボリズム建築の可能性を示すために作られたモデルハウスで、1973年に個人の別荘タイプとして建てられた。この建築空間を体感し配信する試みが、9月11・12日に舞踊史研究家の芳賀直子さんや音環境デザイナーの庄野泰子さん、コピーライターのマエキタミヤコさんらにより行われた。

 庄野さんがデザインした、音に反応して光が明滅する「オトホタル」を置いてみると、カプセルは個々に孤立していても音がそれぞれのカプセルをまわり、音で気配や繋がりを感じる日本家屋的な点があることを発見した。環境広告に携わるマエキタさんは「ゴージャスではなく、人間にはこのくらいのものが必要で、このくらいが幸せという黒川さんの思想があちらこちらに隠れている家」と話す。

 今回の企画に携わった芳賀さんは「この別荘は一つのカプセルに台所や寝室という一つの機能がある。カプセルを組み合わせることができるという黒川さんのメタボリズムの発想は拡張性がある」。今回の試みについて、3人は9月12・13日に軽井沢で開催された日本文化デザインフォーラムで報告。芳賀さんは今後もカプセルハウスを活用した文化的な発信や試みを行っていきたいとしている。

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(右からマエキタさん、芳賀さん、庄野さん。

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