解体で明らかになった事実も 修繕中の旧三笠ホテル公開

2009_topics_mikasa.JPG 修繕工事が進む旧三笠ホテル入口で、専門家の説明を受ける参加者。
 軽井沢町教育委員会は8月29日、保存に向け修繕工事中の重要文化財・旧三笠ホテルを町民対象に特別公開した。新型コロナウイルス感染防止のため、10人ずつ3回にわけて実施。参加者は、文化財建造物保存技術協会の担当者の案内で、建物を囲んだ足場を上り屋根部分を見学。カーペットなどが剥がされた客室部屋も見て回った。

 担当者は、屋根面に残る釘の痕跡から過去に2度の葺き替えを行っていたと説明。スレートと呼ばれる薄い板状の屋根材も、時代ごとに形や素材が異なっていたことも判明した。

 2階客室にはリノリウムと呼ばれる床材が3重に敷かれていて、最下層には1938年頃から製造が始まったものが使われていたこともわかった。「床材が汚れたり傷がついたりすると、上に張り重ねる形で使用していたのでは」と担当者。

 家族3人で参加した追分の伊藤由季子さんは「屋根の上など見えない所も手が込んでいて、作り手の努力が垣間見えた。当時の建築技術の高さに改めて驚かされました」と満足した様子だった。町教委は、工事期間中に今後も特別公開の機会を設ける予定だ。

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