マルチアーティストの河村目呂二 その生涯をひ孫が一冊に

 大正〜昭和前期に活躍したマルチアーティスト、河村目呂二(1886〜1959)を知ってもらおうと、ひ孫の内山舞さんがこのほど、目呂二の生涯や様々な作品、仲間との交流を書籍『目呂二くさぐさ』にまとめた。

 目呂二は化粧品メーカーで広告などのグラフィックデザインを手がけるかたわら、女性を題材にした素焼きの人形や、風景の水彩画、彫塑などの創作に勤しんだ。愛猫家としても知られ、独自の招き猫作品も多く残している。1944年に追分へ疎開すると、山荘を「木通庵(もくつあん)」と名付け、戦後もとどまり里山のスケッチや自由律俳句を作り続けた。

 本のタイトルで使った「くさぐさ」は「色々」の意で、目呂二が常に持ち歩いていたスケッチブックの呼び名からつけた。年代順に目呂二の多様な作品を紹介し、その生涯や妻すの子、そして幅広い交友関係も記した。

 内山さんが生まれたとき、すでに目呂二は亡くなっていたが曾祖母は存命で、「目呂二について私の母に話しているのを横で聞いているうち、興味を持つようになった」という。「目呂二本人がこの本を見たら何と言うか、もし聞けるなら聞いてみたいですね」と話した。
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本を手にする内山さん。「今の若い方にも気軽に手にとってもらいたい」と、B6横のコンパクトサイズに。フルカラー54ページ。990円。追分コロニー、ペースアラウンドで販売。

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